- 保険料は、保険金・給付金の支払いに充てる純保険料と、会社の経費に充てる付加保険料でできている。この内訳を商品別に出している生命保険会社は、41社中1社(2025年10月現在、同社の公表)
- その内訳表から計算すると、30歳男性の例で、終身医療は保険料の約2割、終身がんは約3割、定期死亡は2〜4割、就業不能は約46%、定期がんは6〜7割が経費部分だった
- 割合は商品の種類より「保険料の小ささ」で大きく動く。月数百円の保障ほど、経費の比率が高くなる
保険料は2つに分かれている
保険料のうち、保険金や給付金の支払いに回るのが純保険料。会社の運営や販売にかかる経費に回るのが付加保険料です。代理店や営業職員への手数料も、付加保険料から出ます。
この割合は、ふつうの書類には載っていません。設計書にも、契約概要にも、保険証券にもない。保険業法上、保険募集人に手数料を開示する義務がないことは手数料の高い保険の見抜き方で書きました。
例外が1社あります。ライフネット生命は2008年11月から付加保険料を開示していて、公式サイトには「生命保険会社41社のうちライフネット生命のみ(2025年10月現在)」とあります。2026年6月1日現在の内訳表には、定期死亡、終身医療、定期医療、終身がん、定期がん、就業不能、認知症の7商品について、年齢・性別ごとに保険料・純保険料・付加保険料の円額が並んでいます。
割合は載っていないので、以下は編集部で「付加保険料÷保険料」を計算したものです。
商品別の経費割合
まず30歳男性(認知症保険のみ40歳男性)で揃えます。保険料はすべて月払。
| 商品・条件 | 月払保険料 | 純保険料 | 付加保険料 | 付加保険料の割合 |
|---|---|---|---|---|
| 終身医療 日額1万円・A1型 | 3,156円 | 2,484円 | 672円 | 21.3% |
| 終身医療 日額1万円・A2型 | 6,100円 | 4,735円 | 1,365円 | 22.4% |
| 定期死亡10年 3,000万円 | 2,704円 | 2,000円 | 704円 | 26.0% |
| 定期死亡10年 1,000万円 | 1,068円 | 667円 | 401円 | 37.5% |
| 終身がん 一時金100万円・ライト | 1,190円 | 820円 | 370円 | 31.1% |
| 終身がん 一時金100万円・あんしん+先進医療 | 2,247円 | 1,590円 | 657円 | 29.2% |
| 定期医療10年 日額1万円・A1型 | 1,531円 | 930円 | 601円 | 39.3% |
| 定期医療10年 日額1万円・A2型 | 2,291円 | 1,203円 | 1,088円 | 47.5% |
| 就業不能 月額20万円 | 6,293円 | 3,375円 | 2,918円 | 46.4% |
| 定期がん 一時金100万円・あんしん+先進医療 | 1,014円 | 375円 | 639円 | 63.0% |
| 定期がん 一時金100万円・ライト | 540円 | 150円 | 390円 | 72.2% |
| 認知症 一時金100万円・軽度認知障害10万円(40歳) | 966円 | 616円 | 350円 | 36.2% |
就業不能保険は、70歳まで・支払対象外期間60日・標準タイプ・復帰支援一時金ありの条件です。
ざっくり言えば、終身医療が2割、終身がんが3割、就業不能が5割弱。定期がんは保険料の大半が経費です。
割合を動かしているもの
保険料が小さいほど割合が高い
一番はっきりしているのはこれです。定期がん保険ライトの30歳男性は、保険料540円のうち純保険料が150円。給付の原価は月150円しかないのに、経費部分が390円あります。同じ商品でも60歳男性になると、保険料3,200円のうち付加保険料620円で、割合は19.4%まで下がります。
| 定期がん ライト・男性 | 月払保険料 | 付加保険料 | 割合 |
|---|---|---|---|
| 20歳 | 440円 | 370円 | 84.1% |
| 30歳 | 540円 | 390円 | 72.2% |
| 50歳 | 1,540円 | 560円 | 36.4% |
| 60歳 | 3,200円 | 620円 | 19.4% |
20歳と60歳で保険料は7倍以上違うのに、付加保険料は2倍に届いていません。経費の中に、保障の大きさにあまり関係なく1件ごとにかかる部分があるからだと考えられます。
2008年の開示開始時、同社は付加保険料を「契約1件あたり月250円」「保険料(定額部分控除後)の15%」「予定支払保険金・給付金の3%」の合計と説明していました。現在の算式は内訳表に書かれていないので、いまも同じかどうかは確認できていません。ただ、1件ごとの定額部分があれば、保険料が小さい契約ほど割合が高く出るのは計算上当然です。
定期死亡保険でも同じ傾向が出ます。30歳男性で保険金額1,000万円なら37.5%、3,000万円で26.0%、5,000万円で23.2%。
就業不能は月額を変えても5割弱のまま
就業不能保険だけは、給付月額を10万円、20万円、30万円と変えても割合が45.3%、46.4%、46.8%とほとんど動きません。50歳男性・月額20万円でも45.6%、30歳女性・月額20万円で47.1%。
保険料の規模が死亡保険や医療保険と同程度なのに、経費の比率は一段高い。内訳表からは理由までは読めません。読めるのは「この商品は保険料のほぼ半分が経費部分」という結果だけです。
終身型は割合が安定している
終身医療は20歳から60歳まで、男女とも2割強でほぼ一定でした(30歳男性A1型21.3%、60歳男性20.8%、30歳女性21.2%)。終身がんも30歳男性で22〜31%。保険料が月数千円の規模になると、1件ごとの定額部分の比重が薄まる、と読めます。
定期型は月額が安いぶん割合が高い
同じ日額1万円の医療保険でも、10年の定期型は30歳男性A1型で保険料1,531円、付加保険料の割合は39.3%。終身型の3,156円・21.3%と比べると、月額は半分以下なのに、経費の比率は倍近くあります。
付加保険料の円額だけを見ると、定期型601円、終身型672円で、ほとんど差がありません。保障の期間が短く若いうちの純保険料が小さい定期型は、その小さい原価に同じくらいの経費が乗る形になります。月額が安いことと、保険料の使われ方が効率的であることは別の話です。
もっとも、定期型は更新すればその年齢の保険料になります(同じA1型で40歳2,194円、50歳3,622円)。終身型と定期型のどちらが合うかは、何歳までその保障が要るかで変わります。
他社の割合は分からない
ここで並べた数字は、すべて1社のものです。他社がどれくらいなのかは、公開されていないので分かりません。
同社は2008年の発表で、インターネット販売で販売・事務コストを削り、付加保険料を低い水準に設定していると説明しています。営業職員や代理店を通じて売る商品の経費割合がこれより高いのか低いのか、推測で書くことはしません。言えるのは、対面の営業網を持たない会社の商品でも、保険料の2割から7割が保障以外に回っているという事実までです。
家計の判断にどう使うか
付加保険料の割合が高いこと自体は、悪いことではありません。月150円の保障を1件売るにも、引受の審査、システム、請求の事務がかかります。
ただ、純保険料と並べると、保険で買う意味が見えやすくなります。
- 定期がんライトの30歳男性は、純保険料が年1,800円、付加保険料が年4,680円。がんと診断されたときの100万円を、年6,480円で買っている。そのうち給付の原価は3割弱
- 就業不能の月額20万円は、純保険料が年40,500円、付加保険料が年35,016円。起きる確率は低いが、起きれば収入の途絶えが年単位で続きうる
前者は、100万円の貯蓄があれば自分で持てるリスクです。後者は、貯蓄では持ちきれない人が多い。経費の割合が同じ高さでも、保険で買う理由の強さは違います。
会社員なら、病気やけがで働けないときの傷病手当金、医療費の自己負担を抑える高額療養費制度が先にあります。民間の保険は、その上に足りない分だけを乗せるものです。少額の保障を何本も重ねると、付加保険料の割合が高い契約を積み上げることになります。
手元の保険で確かめる
ほとんどの会社は内訳を開示していないので、手元の保険の付加保険料は分かりません。保険会社に聞いても答えは返ってこないことが多いはずです。
代わりにできるのは、保障の中身と保険料を書き出すことです。
- 証券から、保障ごとの給付額と月払保険料を書き写す(特約も1本ずつ)
- 「その給付額を貯蓄で払えるか」を横に書く。払えるなら、その保障は保険で買う必要が薄い
- 残った保障について、公的制度でどこまで出るかを確かめる
必要な死亡保障と就業不能の保障額は、年収と家族構成から出せます。自分の数字で試算すると、証券の保険金額と並べて比べられます。
出典
- ライフネット生命「保険料の内訳表(代表例)」(2026年6月1日現在)p.1-7 https://www.lifenet-seimei.co.jp/shared/pdf/insurance_table_latest.pdf
- ライフネット生命「ライフネット生命の特長」(2026年10月14日確認) https://www.lifenet-seimei.co.jp/about/
- ライフネット生命 プレスリリース「徹底した情報公開を目指すライフネット生命保険 付加保険料率の全面開示へ」(2008年11月21日、11月25日一部修正) https://www.lifenet-seimei.co.jp/shared/pdf/2008-1304.pdf
- 保険業法 第294条第3項、第297条(e-Gov法令検索、2026年10月10日確認) https://laws.e-gov.go.jp/law/407AC0000000105
- 付加保険料の割合(付加保険料÷保険料)と年額換算はすべて編集部計算
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